高校生がバイトすることは珍しくありませんが、これについては昭和の時代から賛否両論あります。バイト賛成派と反対派、どちらの意見も納得できるものが多いのですが、実際問題、高校生がバイトをすると悪影響が出やすいとも言われているのです。
今回は高校生がバイトをしたことによって考えられる悪影響の話を中心にご紹介します。もちろん、全ての高校生に当てはまるということではありません。
高校生がバイトをするとどんな悪影響がある?
学力低下
学校や自身の進路の選び方によっては、バイトすることで悪影響が出やすいでしょう。特に進学校や普通科高校など学生の大半が進学する進路の学校の場合は、悪影響が出る可能性が高いです。
その為、進学校の生徒さんは多くの方がバイトをしていない、というケースも良くある話です。バイトすると単純にその分勉強時間が削られるわけなので、入試の準備がしにくくなるわけですから。
現に多くの普通科高校の校則でバイトが禁止になっているのは、これが関連しているでしょう。また、工業高校など学生の大半の進路が就職である学校の場合は、進路自体に悪影響ではなく良い影響が出ることも考えられます。
例えば、バイトをすることによって、将来的に役立つスキルを身に付けることができたりする場合もあります。但し、勉強の時間を確保していない場合は学力の低下を免れないでしょう。
非行に走る
バイトをする高校生は、法に触れる行為をするなど非行を起こしやすいとも言われています。実際、以下のリンク先にあるデータによると、男女共にバイトをしている高校生の約6割以上が非行をしていることがわかっています。
(参考:http://www.cis.kit.ac.jp/~kida/2011/tokuron/005.pdf)
もちろん、元々非行だった高校生がバイトをしているのか、バイトをしたから非行高校生になったのかは不明ではありますが、後者の事例も多いでしょう。基本的に高校生でバイトをするということは、大半は「遊ぶ金欲しさ」でバイトをする人が多いです。
親の経済的な事情により、バイトをしないといけない方ももちろんいますが、このような場合でもバイト先の先輩とつながりができて非行に走る。深夜労働など違法なバイトをして道を外してしまったなどはよく聞く例です。
部活動に悪影響を及ぼす
勉強同様に、バイトをしていると部活動に影響が出やすいでしょう。バイトがあるからと部活動を休みがちになること、体が疲れて部活で良いパフォーマンスが発揮できないことなどがあります。
部活動とバイトを両立している人の多くが部活動が終わってからバイトに行く流れとなりますが、そうなれば夕方の6~7時から10時ぐらいまでバイトをしてそれから帰宅となり、部活の疲れもそうですがバイトの疲れもあるのでなかなか体力的にもハードです。
そのことの自覚が高校生自身にもあるのか、部活をしている高校生は非行の割合が低い、バイトをしていない高校生は部活をしている割合が高いというデータもあります。
(参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/tpe/7/0/7_25/_pdf/-char/ja)
もちろん、文化部などバイトをしているから悪影響が出る部活なのか答えが出しにくいものもありますが、一応の目安としてバイトは部活に影響が出やすいとも言えるのではないでしょうか。
高校生のバイト賛成派、反対派の意見とは
次に、高校生がバイトをすることに賛成派や反対派の意見も見ていきましょう。賛成派の意見の主旨としては、人はいつかは働く義務があるので、それに関連するものが多いです。逆に反対派では、高校生は勉強すべきというものが根本にあります。
賛成派の意見
社会経験を積むことができる
バイトをしていると、学校の勉強では得られない社会経験を積むことができます。例えば、接客、お金の計算、仕事の責任などは学校生活ではなかなか経験できません。社会経験があると、いざ就職したときに大きなメリットになり得ます。
もちろん、高校生時代ではなく大学生になってからでもバイトで社会経験を積むことができますが、特に、高校卒業後すぐに就職しようと考えている方にとってはアルバイトが大きなメリットとなるのではないでしょうか。
仕事の大変さが理解できる
仕事、つまりお金を稼ぐことは大変なのだというのは、頭でわかっていても実際経験しないとわからないでしょう。1万円をバイトで稼ぐのがどれだけ大変か、働きながら勉強するのはかなり苦労するなど、バイトをしてみて初めてわかることも多いはずです。
また、働いて自分を扶養してくれている両親に対しても、ある程度の理解もできるかもしれません。
反対派の意見
バイトをする時間がもったいない
始めにも少し触れましたが、バイトをする=勉強する時間がなくなる、ということです。そうなると、高校の定期テストで落第するリスクがあることはもちろん、進学する進路にも悪影響を及ぼす可能性が高いでしょう。
現に、偏差値が高い大学へ進学したいのにバイトをしている高校生はほとんどいません。つまり「バイトする暇があるならば勉強しなさい」「学生は勉強が本分だ」となります。バイトをしたことで、希望していた大学へ進学できないとなれば本末転倒です。
遊ぶお金に使われ勉強不足になる
10代のうちは、遊ぶお金が欲しいものです。そのため、バイトして実際お金を入手してしまうと、遊びにお金を使いこんでしまう可能性が高いです。たとえば、カラオケ代、スマホ料金、ファッションの為などがあげられます。
遊びに夢中になると、やはり勉学が疎かになってしまうでしょう。それだけならばまだしも、逆に道を踏み外してしまうこともあります。例えばバイトで貯めたお金でバイクを購入し、暴走行為をする、夜遅くまで遊んで学校に行かなくなるなど様々な悪影響があります。
そう考えると、高校生のうちは余計なお金は持たず、親権者のお小遣いに頼った方がよいという意見も出てくるわけです。
労働条件のトラブルによる悪影響
高校生がバイトすることで、勉強などの悪影響とは違い別の問題として、バイト先でのトラブルがあります。違法な労働条件やパワハラなどがあげられますが、これらは社会的に未熟な高校生につけこむものが多いのです。
具体的なトラブルとして、無理矢理働かせるなど強引なシフトにさせられるものが、バイトしている高校生の20%以上が経験していると厚生労働省の調査でわかっています。
また、バイト代を全額支払わない、準備の時間に賃金を支払わないなどの賃金に関するトラブル、深夜労働や休日なしなどの違法労働なども判明しているのです。
そうなると、単にバイトで勉強できないからだけでなく、バイトをすることで心身的にも高校生に悪影響を及ぼす可能性があることがわかります。
もちろん、このようなブラックバイトは一部ですので、実際労働条件のトラブルは少ないですが、上で解説したようにトラブルに遭う可能性もあると思っておいて下さい。
結局、高校生がバイトをするのはどうなのか?
高校生がバイトするのは進学を希望しているのか、もしくは就職を希望しているのか、などその人の状況によって考えるといいでしょう。もちろん、遊ぶ金欲しさにバイトをする、という考え方でも悪くはありませんが、学業などに悪影響を与えないことが一番です。
つまり「親や学校に迷惑をかけないでバイトをする」のなら、バイトをしても構わないと思いますが、将来的な事を考えると高校生の内はバイトをしない方がおすすめです。今の日本社会は学歴によって収入の差がありますし、勉強をして大学に進学をしておきたい所でしょう。
いくら進学を希望していても進学が決まってからバイトをする、ということも出来ます。もちろん、バイトしながら定時制高校に通ったり、生活のためにバイトすることを否定するつもりはありません。
また、確かにバイトをすることで経験を積めるメリットもあります。ただ、高校生がバイトをすることでデメリットが多いことも上記の通りです。10代の若者がお金を稼ぎたいのは遊びたいという理由が多いので、バイトをすることで悪影響となり道を踏み外すことだってあります。
そのため、高校生のうちはお金をかけない遊び方を探してみたり、勉強や部活などに夢中になるのが良いのではないでしょうか。高校時代にバイトをすることが必要でないのならば、バイトをしたり仕事をがんばってお金を稼ぐのは、大学生や社会人になってからでも決して遅くはないと思われます。
上述した通り、賛成派と反対派の意見は他にも色々とありますが、基本的にいくら議論をしても結論に至らないと考えられます。よって、バイトをするかしないか迷っている方は「目標」が何なのか、自問自答して答えを出すといいでしょう。
大学進学が目標だったら勉強をメインにして考える、という考え方がいいでしょうけど、最終的には親の判断もあるので難しい所です。
まとめ
以上、高校生がバイトすると悪影響があるのか見てきました。結論としては、悪影響を及ぼす可能性があるということになりますが、バイトをすることでメリットがないわけではありません。
そのため、自分の通っている高校の状況に合わせてバイトを考えてみるのがベストだと言えます。昨今では、高校生でもネットで簡単にバイトを探せますが、実際自分がバイトをするかどうかは、一度立ち止まって考えてみるのをおすすめします。